道徳って何をどう評価すればいいの?
そもそもどんな評価の仕方があるの?
「道徳の教科化」に伴って、道徳の評価をする必要が出てきました。評価の提示の仕方は各学校によって、バラバラだと思いますが、文章による評価を取り入れているところがほとんでしょう。
でもどうやって評価して、どうやって表記したらいいかわからない。
そんな人もかなり多いはず。なので、今回は道徳の三つの評価「パフォーマンス評価」「エピソード評価」「ポートフォリオ評価」について、簡潔にお伝えしたいと思います。
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1 パフォーマンス評価

一般的なペーパーテストでは評価しきれない「技能や思考」を評価するために使われる評価方法の一つ。授業で学んだことを図やイラスト、身体表現・演技、スピーチ、記述など、多彩な方法で表現し、その「作品(パフォーマンス)」をもとに評価する取り組み。
む、む、む、難しくないか?・・・
上の説明はちょっと堅苦しく書いてありますが、内容は至ってシンプル。こちらの問いや教材に対する「子供の反応や表現」=「パフォーマンス」をもとに評価をするということ。
ざっくり言って、子供の反応全てが、評価対象みたいな捉え方でいいでしょう。
でもなんかこのままだと漠然としててよーわからん。もう少し踏み込みましょう。
パフォーマンス評価に欠かせないのは「主発問」
パフォーマンス評価をするにあたって、一番大事なのが「主発問」。「主発問」は1時間の授業の中における、もっとも中心の問いかけのこと。
この「主発問」に対する一人一人違った反応を「評価」していくわけです。
最終的に子供自身が、
最終的に
- 「どうして主人公はそうしたんだろう」
- 「自分ならどうするだろう」
と、自分を「登場人物」に重ねて考えてもらいたい。そのためには
- 「もしあなたが○○くんだったら…」
という問いができるはず。この、子供にグッと考えさせる問い「主発問」が欠かせません。
なるほど、「主発問」に対する子供の反応を探るんだ!
でもどんな「主発問」ができればいいの?
そう、「主発問」による反応を評価するのであれば、この「主発問」は洗練されたものじゃないと意味がないですよね。全員が全員同じ反応を示したり、もはや反応を示してくれなかったら評価どころじゃない。
どんな「主発問」がいいのか。
30人クラスなら30通りの意見が出る「主発問」を
一つの主発問に対して、できるだけたくさんの「反応」が得られる問いが望ましい。「Yes」「No」の二択とかじゃなくできるだけたくさん。
理由は、1時間の授業の中で、子供の「道徳的変容」が生まれやすいから。
「道徳的変容ってなんじゃい!いきなり難しい言葉を使うなやい!」
失礼しました。もっと噛み砕いて説明しましょう。
僕はAだと思うな!
私はBだと思うよ!だって〇〇じゃん!
えーそう?俺はCだと思う。だって前△△みたいなこと経験したもん。
みたいなやりとりが続いたとしましょう。Nくん以外みんな違った意見を持っている。すると
(あれ、みんな自分と意見が違う)
(僕のこの考えってもしかして間違ってるのかな)
(なんでみんなそういう考えになるんだろう)
と、「自分の頭にない考えへの欲求」と「自分の考えの再探求」が起こります。これが「道徳的変容」。
独りよがりの意見から、いろんな人の意見を取り入れた上での、客観的な考えを獲得できました。
これが、もし30人中30人が同じ意見に偏ってしまう主発問だと、この「道徳的変容」が生まれにくくなる。自分の最初の考えで満足してしまうからです。
なるほど!道徳的変容を生むために、いろんな選択肢が出る問いがいいわけか!
じゃあ、いろんな反応が出た後、どう評価するの?
いよいよ、「評価する」段階です。ねりにねった主発問のおかげで、いろんな反応が得られた!よーし、これをうまく評価するぞ!
「記述」による「自己評価」
「パフォーマンス評価」の場合は、授業の主発問(パフォーマンス課題)に対する答えを、「授業の最初と最後」にとること。
理想はこんな「記述」が生まれることです。
「初めは○○って思ったけど、Cちゃんの考えを聞いて△△の意見のこういうところもいいなと思った。」
「みんなの意見を聞いて、私が主人公の立場だったら、○○すると思う。理由は△△だから。」
授業内で「道徳的変容」が感じられる記述、また、主人公の視点に立った根拠(理由)が明確な記述、これらが、子供の「感想」から見られること。見られるような「主発問」と、自己評価の促しが大切です。
道徳科における「パフォーマンス」は「記述」の寄ることがほとんど。なので、大切なのは「意見が分かれやすい「主発問」の設定。これがパフォーマンス評価のキーワード。
2 エピソード評価

小学校なら6年間、中学校なら3年間の中で特徴的な場面を、生徒一人一人の人生における「エピソード」として捉えて、年間を通してその成長を評価する方法。
ほうほう、つまり子供一人一人の人生の成長を観察しながら・・・・ってできるか!
そこまでしろ!ってわけではありません笑
一人一人の人生の中で「印象的な出来事・場面」「分岐点となった出来事・場面」などを「エピソード」として、深く掘り下げていく方法です。
少し例をあげて説明してみましょう!
例)Nくんの「エピソード」
部活動がうまくやっていけてないなぁ。。。
授業の「前」に
- 二者面談
- 部活動ノート
- 手紙
これらの「エピソード(場面)」を通して、「部活動における悩み」を吐露していたNくん。
話を聞いたり、部活動ノートに書かれていることによると、どうやら原因は「厳しい先輩との関係」。欠席日数も増えてきたが、葛藤しながら、なんとか乗り越えようとしているよう。
ちょうどここである教材を使った「道徳の授業」を実践。
授業の「後」に
・教材一読後の初発の感想
・発問に対する答え
・振り返りの記述
・授業後の生活、会話
ある道徳の教材を読んだ時に、登場人物と自分を重ね合わせ、登場人物の心情に同情したり、自分を見つめ直す記述が見られた。
授業後には、「厳しい先輩」の発言を少し前向きに捉えることができるようになり、自分にもしっかり向き合い、元気を取り戻すNくんの姿があった。
先輩の言葉はもしかしたら、こういう思いからきたものだったのかもしれない。
もう少し一生懸命頑張ってみよう!
いかがでしたか。「エピソード」の感覚が少しでもわかってもらえたら幸いです。
もちろん、こんなスムーズにいくことのなんて滅多にありません笑 だからこそ「エピソード評価」には忘れてはいけないポイントがあります。
長期的な目線・観察が必要

「エピソード評価」で一番大切なのは、「長期的な視点」を持つこと。
「道徳教育」は「学校教育全体」の中で行います。「学校教育全体」で行いますが、その中でみられた「道徳的な行動」は「評価してはいけない」んです。
あくまでも評価するのは「道徳科」の授業内における子供の道徳性の部分。(だから「記述」でみることが多い)
Nくんの場合、「部活動の悩み」の後の道徳の授業の記述で変化が見られました。でももしかしたら、変化が見られるのは1年後かもしれないし、卒業直前かもしれない。
だから、「長期的な視点」が必要。
正直。「エピソード評価」は難しいですよね。一人一人の365日を把握なんて到底できないので、大変です。が、例えば、「不登校傾向の子供」「部活動で悩む子供」「人間関係で悩む子供」など、明らかにある一つのことで困っている子供の変容は、この評価方法を使うと、その「道徳的変容」は見やすくなると思うし、こちらも手立てをうちやすくなると思います。
ポートフォリオ評価

学習ファイルに綴じた、子供の学びに関する記録(作文やレポート)などを評価するもの。子供が自己評価したり、教師が意図的に支援を加えたものが、一つのファイルに蓄積されていく。
お!これがなんだか一番シンプルでわかりやすいぞ!
そう笑 「ポートフォリオ評価」が一番シンプルで、やりやすい評価方法じゃないかなと思います。「ポートフォリオ」つまり「文書」。文書を積み重ねていくやり方です。
詳しく見てみましょう!
「道徳用ポートフォリオ」の作成
わかりやすい言葉で言うと、「毎時間の振り返りシート」を作成するということ。
教材を読んで、周囲と考えを共有して、「自分がその授業を終えて何を考えたか」について、「記述する」。それを一つのファイルに蓄積していく。
蓄積していく内容
・教材名
・道徳的観点(A-1とかB-6とか)
・自己評価(5段階)(どれくらい考えを深めることができたかについて)
・感想
毎授業後、5分程度、自分の考えを「記述」する時間を設ける。書いたものは一人一つのファイルにファイリングしていく。そうすると1年後には、自分だけの道徳ファイルが蓄積された状態になりますね笑
「道徳の足跡」という表記で蓄積させているところもあるようです。
1時間に振り返りプリント1枚書くよりも、1枚の中に6時間分の振り返りが書けるようなプリントにすると、「前回これやったなあ」とか「うわ、これ懐かしい」とか思い出しやすくなるのでおすすめですよ。
教師のフィードバックを大切に
「ポートフォリオ評価」で欠かせないことは、「教師の支援・励まし」。
一番最初の授業の振り返りの質が「1」だとして、1年後も「1」だったら意味がありません。その「1」を「2」とか「3」とかに、どんどん伸ばしていく役目が、「教師の支援・励まし」になります。
初めはうまくかけなくても、認められることで少しずつ書けるようになっていくはずです。いい振り返りを書けた子のものは、その日の帰りの会とか、翌日の朝の会とかに全体に伝えると、その子も他の子もたくさん考えられwるようになるはずです。
まとめ
今回は道徳の評価方法について3つ紹介しました。
それぞれ異なった評価方法ですが、共通しているのは子供自身に「記述」させること。ここが道徳の評価の肝になることは間違いない!
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