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『シン・ニホン』(安宅和人)から考える今後の教育/「スポンジ力」よりも「気づく力」を!

『シン・ニホン−AI×データ時代における日本の再生と人材育成−』(安宅和人)では、これからの情報社会を生き抜くことができる人材を確保するための「教育」についても述べられています。

その「教育」の部分のみピックアップしながら、教育現場も現状と照らし合わせて、これからの学校教育を予想しましょう。

【「教育」に関するおすすめの記事】
・【2030年の学校】はどうなっている?(『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』のまとめ)『AIに負けない子供を育てる』(新井紀子)本当の「読解力」ってなに⁉︎

『シン・ニホン』をオススメする人(教育の部分において)

  • 教育に携わっている人(学校の先生)
  • 学校の先生を目指している人
  • 保護者
  • これからの学校教育が気になる方

『シン・ニホン』の中の「教育」に関わる部分は5分の1程度ですが、上の4つに当てはまる人にはぜひ読んでほしい内容です。

コロナウイルスの感染拡大によって、学校教育そのもののあり方から見直されています。

これからの有望な若い力をどう育てていくか、子育てや、授業の仕方、教育観のヒントをくれると思います。

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子供に必要な力

AI×データ時代に対応できる力を

教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

教育基本法 第一条 

「社会の形成者として必要な資質」

今現在は「社会」自体が目まぐるしく変わっています。「AI×データ時代」に「社会」が全速力で向かっている今、それに対応できる「資質」を持った子供たちを育てることが、親や教員の大切な役割だということです。

「スポンジ力」<「気づく力」

「スポンジ力」(覚える力)

「アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)」という言葉も当たり前になったので、

「勉強は詰め込みじゃない!暗記じゃない!生きていく上で必要な課題解決能力、思考力、判断力、表現力を鍛えているんだ!!」

と、考えている「大人」もいるかもしれません。ただし、こう考えているのは「大人」だけ。

子供の考える勉強とは

  • テストで良い点数を取ること。
  • 正確にたくさんのことを覚えること。

ですよね。脳みそにできるだけたくさんの知識を入れ込んでいく力、これが「スポンジ力」

そういう「スポンジ力」のある人を、多くの企業が採用してきたという背景もありますが、これからはそうはいかないんです。

この「覚える力」を圧倒的に重視してきたということだが、その時代は終わる。今まで生み出そうとしてきた能力の大半は、本来キカイの方が得意な能力だ。

『シン・ニホン』より

人間は「スポンジ力」ではAI(キカイ)には勝てない。

これからは「気づく力」のある人が、はるかに大切な人材になるということです。

「気づく力」(生の体験・苦労を肉化する力)

「気づき」は自分の中にある何らかの知識や理解が、異なる何かとつながることだ。(中略)

机上の理論・文章だけでなく、生の体験・苦労を通じ、自分なりの気づきを促し、この気づく力そのものを育成していくような人材に脱皮させていく必要がある。

『シン・ニホン』より

人から聞いた話は数日で忘れます。人の顔ですら忘れることがあります。

でも、自分で気づいたことは忘れない。体験したこと・苦労したことは忘れない。

AIに代わられない人材は、知識や体験を自分の血肉として、新しい何かを生み出したり、表現できる人のことを言うのでしょう。

教育のこれから

「国語」は「三学(文法学・論理学・修辞学)」が身について当たり前の時代

【現在の国語の授業】

  • 小説や随筆の書き手が言いたいことの推測・理解
  • 感想文(感じたことをただ書き連ねる)
  • 難しくわかりにくい敬語表現
  • 当たり障りのない内容の古文・漢文の読解

全部の学校の全部の授業がこうということではないですが、やはり授業を見に行っても、「では、最後に筆者はこの物語で何を伝えたかったのかをまとめよう」と言う場面を見ることは多い。

一つ一つの言葉や表現に基づいたまとめならまだしも、子供の自分の意見の発表会で終わることも多い。しかもよく発表するクラスの評価はすごく高いんですよね。発表内容に関係なく。

このような学習は海外では行われていません。海外では母国語の学習を以下の部分に注いでいます。

【これからの国語の授業】

  • 分析的・構造的に文章や話を理解し、課題を見つける
  • 論理的・建設的にモノを考え、説得力のある思考を作る
  • 力強く、わかりやすく自分の考えを発表したり、文章で表現する

日本語の文法を学習し、自分で言葉の間違いに気づいたり、文章の細かい表現に注目して、「この言葉があるから主人公はこう考えている」と根拠に基づいて考えたり相手を納得させる話し方や、話の順番を考えたり、、、

これが本当の国語の力、社会で役立つ国語の力だと言う。

実際、教科書の8割は「物語文」と「説明文」が載っています。文法は10ページ程度、話す練習や書く練習は20ページ程度でしょう。

「知識数学」じゃなく「使える数学」が当たり前の時代

「TIMSS 2015の結果」

日本の中学生の数学の結果はなんと世界5位

世界トップレベルの数学の知識を持っていることがわかります。

ちなみに日本は1999年からずっと「世界5位」を維持し続けています。

数学に対する意欲などのアンケートの結果が次の写真です。

TIMSS 2015の調査結果(文部科学省)より
TIMSS 2015の調査結果(文部科学省)より

数学に対する意欲、数学の有用性、全ての項目で、国際平均を大きく下回っています。

「数学はやりたくない、やらされている」と多くの中学生が考えているという結果です。

確かに中学生は、数学を学習する前から、「苦手意識」を持っている子供が多い。これまで見たクラスでは女子に特に多い印象です。

TIMSS 2015の詳しい結果はこちらから。

数学を「道具」として使わせる

大学や社会で実際に利用する際には計算はキカイがやるので、必要なのはこれらを「道具」として使えること、数学に対する恐怖心をもたないことだ。

『シン・ニホン』より

「道具」として使う。簡単にイメージできるのは、スーパーの買い物の値引きシール、グラムあたりいくらとかでしょうか。

旅行好きな子は「外貨計算」とかも好きかもしれません。

計算だけでなく、「統計」をとる、「データ」にする力は今後特に大きな武器になります。

あるあるですが、「先生が授業中に「えー」と行った回数」とか、「先生の歩き方」とか、身近で楽しめる題材を提供してあげることが大切かもしれません。

「英語」は話せて当たり前の時代

世界語は今は英語、まもなく中国語が数世紀ぶりに加わる可能性が高い。

『シン・ニホン』より

現在、中等教育で中国語はほぼ一切教育されていないが、これはすでに経済規模で米国に並びつつあり、あと10年以内には数世紀ぶりに世界のトップに戻る可能性が高い中国市場に対する備えとしては、少々リスクが高い。

『シン・ニホン』より

10年後には「中国語」が世界語の一つとなる。

小学校1年生からの英語学習が始まり、「グローカルな力を!!」と豪語しているが、英語は話せて当たり前、学校の外国語の授業は「中国語」を、なんて日が来ることもあり得るんです。

さらにその数十年後には「ヒンディー語」が世界語になる。インドの人口が増加するからですね。

少しでも早く英語の素養は身につけておくと○。

「道具」として使える外国語を身につける

「EF英語能力指数 特別レポート」によると日本の英語能力の世界のランキングは、参加国100国に対して53位

能力レベルは「低い」という結果が出ている。

世界的に見ても教育水準が高く、小学校から英語科の授業が始まるほど、英語力の育成に力を入れているにも関わらず、このような結果になっている。

ちなみに世界のランキングはこんな感じです。(EF英語能力指数HPより)

EF英語能力指数HPより

原因は「インプット式」の学習形態。英語を「読んで聞いて」を目標にするのが日本では当たり前となっています。

「道具」として外国語を使うには「アウトプット式」の学習形態が必要。

「書いて話す」これをひたすらトレーニングする学習が大切。

言いたいことをどう言おうか考えることで、英語能力だけでなく、日本語の言葉の言い回しも考えることになるので、国語力にも関わります。

「EF英語能力指数 特別レポート」を詳しく見たい人はこちら。

プログラミングはできて当たり前の時代

「プログラミング教育」という言葉がようやく耳に馴染んできた頃でしょうか。

実際、小学校ではプログラミングを使った教科教育が始まっています。

「プログラミング」という科目を学ぶのではなく、「プログラミング」を活用して、教科教育を学習する感じです。

例えば、「プログラミングを使って、メロディーを作成する(音楽)」「プログラミングを使って、多角形の一角の角度(外角と内角)を考える(算数)」など。

学校現場ではそういう「プログラミングソフト」を活用して指導をしていますが、「指導する側」はもちろん、「受け手側」もPCを使いこなせないと、教科教育すらままならなくなる日が来るかもしれません。

3年間で1万人が学んだプログラミングスクールTECH::CAMPのオンライン説明会

データを使いこなせて当たり前の時代

これからの時代、次の4つの「AI×データ」を生かした教育が必要になる。本著の引用である。

  1. データ利活用
  2. ソフトウェアづくり
  3. ものづくり
  4. 空間づくり

アプリを開発したり、計算機の仕組みをプログラミングを使って解明したり、ドローンを使ったり、ドローンで撮った画像や映像を活用したり、そんな内容が授業の一つとして行われる時代が来るかもしれない。

ただ、それらの技術を教えるのは教員。

一つの教科として、専門の先生が配属されればいいですが、小学校の先生方が、その得意不得意に関わらず、英語教育やプログラミング教育の指導を行うようになってきてるように、さらに指導事項が増える可能性も十分あります。

教員に必要な力は「時代についていく力」もしくは「時代を牽引する力」かもしれないですね。

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若いうちからどんどんアウトプットさせる!

「なぜ、起業する人は若い人が多いんだろう?」

「知識も経験も豊富な大人の方が新しい事業をするにはいいんじゃないか」

実は知識を入れすぎない方が、新しいアイデアや気づきが生まれやすい

それは、知らない部分の余白を自分の持っている知識や経験で埋めようと必死で考えるからだ。

大人になるにつれ、物事を知りすぎる、情報を集めすぎると、「ひらめき」からは遠のいていく。

これが若い人の方が起業者が多い理由です。

つまり、若い時にいかにアウトプットをする癖を身につけさせるかが大事。

詰め込み型の学習が悪いわけではなく、詰め込んだ知識をどうにか表現させることが、学校や親の役目です。

「アウトプット」の重要性はおそらく、しばらくの間は変わらないと思います。「AI×データ時代」を生き抜ける子供がになるように基盤を整えましょう。

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