良い人生を送る

『東京貧困女子。』(中村淳彦)から見る「奨学金」の闇。借りる前に知っておくべきこと。

大学進学率が「55%」の時代。大学進学と「奨学金」の切り離せない関係にあります。今やもう高校進学の際に「奨学金」を必要とすることも当たり前です。

聞こえはいい「奨学金」という言葉、でもこれはただの「借金」なんです。

本当に奨学金は必要なのか、借りる額はそれでいいのか、もう一度考える機会になればと思います。

「奨学金」はただの「借金」

日本学生支援機構の奨学金は、無利子の第一種と有利子の第二種がある。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

将来なんの職業に就くかわからない、働くことすらわからない高校卒業前の低収入世帯と認められた未成年者に有利子のお金を貸し付けるのは、どう考えても無謀だ。救済制度もほとんどなく、大学卒業後から始まる月々の返済には容赦がない。3ヶ月間延滞したら、民間の金融業と同じく、ブラックリスト(個人信用情報機関)に登録されて、債権回収の専門会社からの取り立てがはじまる。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

日本学生支援機構は、財政投融資や民間資金を財源にして、奨学金制度を金融事業として展開した。年利は上限3%、奨学金とは名ばかりで利子で利益を上げる金融ビジネスとなった。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

奨学金の一番の問題は、借りた本人(学生)が、「借金をした」という感覚が全くないこと。

「奨学金」という名前に騙されて、「大学に行く手助けをしてくれるもの」という感覚の人も多いはず。

実際、自分も「借金」だという感覚は、微塵も、1ミリもなく、毎月自動で口座に振り込まれる奨学金を楽しみに生きていました。

本著の中に登場する、お金を求めて、体を売る仕事を始めた女性の言葉にも

奨学金は毎月振り込まれる。深く考えることなく、右から左に学費に回していた。借金ということは理解しつつも、その感覚は薄かった。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

とある。当たり前の感覚だと思う。

でもやっぱり「奨学金」は「金融ビジネス」。

「大学卒業後に働く自分」を担保に、お金を借りているだけ。

奨学金は言い換えれば「学生ローン」だということを忘れちゃいけない。

国の手助けはあてにできない

大学奨学金が社会問題になり、返済不要の給付型奨学金の必要性が叫ばれた。安倍政権は2017年度から給付型奨学金を新設したが、予算はわずか70億円だった。大学生一人当たりにすれば2400円程度だ。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

給付型奨学金が新設されたことを知っていましたか?知らないですよね。私もこの本を読むまでは知りませんでした。

2400円で何ができるんだろう?

社会問題にまでなったのにも関わらず、これだけの成果しか出せていない。2018年からは低所得世帯の大学無償化、負担削減の検討が始まっているが、いつ公示されるかわからない。

出来るだけ、「奨学金」を借りない道、借りたとしても返せる道を探す必要がある。

スポンサーリンク

返済はめちゃめちゃきつい(体験談)

奨学金返済額

奨学金返済が始まるときに私の手元に届いた書類です。社会人1年目が始まる前の段階で、借金「244万8000円」

月々「13600円」ずつ返還し、返し終わるのは、15年後、37歳になった時。圧倒的マイナスからのスタートです。

244万は、奨学生の中では決して多くはないと思います。600万円借りて、月々20000円の返済というのも普通にあります。

手取り20万、贅沢はできない生活

初任給から手取りで約20万円。そこから家賃、光熱費、生活費、保険などを差し引くと、残るお金はなけなし。

家族や友人の誕生日、結婚式があると、すぐその月の収支はマイナスに。

月13600円が引かれるのとそうでないのでは、雲泥の差があります。

正直37歳までこの返済が続くと考えるときついですね。結構きつい。まとまったお金が入ったら、先払いで返そうと思っているのですが、なかなか、そんな余裕は生まれないのが現実。

「奨学金」という闇の実際

本書『東京貧困女子。』の中では、奨学金の返済に追われ、AV女優の仕事を始める女性について多く語られる。

「いまでも混乱していて気持ちの整理がついていないです。ただ、ずっと借金を抱えるってことが不安でたまらなくて、AV女優になっちゃった。AV女優になったから、その稼ぎで300万は返せた。それだけが救い。いまの返済額は残り300万円くらい。47歳で完済だったのが、32歳までに繰り上がった。やっぱり600万円は、とんでもない返済金額です。」

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

このような人がかなり多い。望んで体を売るのではなく、「仕方なく」「そうせざるを得ないから」体を売る。

「大学時代の奨学金友だちが2人いて、その子らも将来を諦めています。真面目に考えるとおかしくなっちゃうから。(中略)卒業が近いころ、その一人から夜の仕事をしたいって相談された。デリヘルを紹介したので、いま、OLをしながら風俗嬢をしていますよ。」

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

社会人にでて、突然目の前に現れた巨大な「借金」。これを目にすると、正常な判断を失うのだろうか。思考が停止するのだろうか。

少なくとも自分は「244万」という数字を見て途方にくれました。「何年間ただ働きをしないといけないんだ!」と思いました。

親がどうこうじゃなくて、大学生時代に、なんの違和感も持たずにのうのうと奨学金が来るのを楽しみにしていた自分に腹が立ちます。

「貧困」の先にあるもの

2018年9月7日、九州大学箱崎キャンパスでオーバードクターの焼死体が見つかった。貧困を苦にした焼身自殺と言われている。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

若い人ではないが、貧困が原因の自殺は本当に身近で起こっている。下の記事に詳しく書いてありましたので、気になる方は、参考に。

「貧困に殺された九大オーバードクターはなぜ生活保護に頼らなかったか」

スポンサーリンク

一応「減額返還」「返還期限猶予」もある

減額変換制度

月々の変換金額を「2分の1」もしくは「3分の1」にして、返還することができる制度。

【減額返還の基準】

給与所得の方年収325万円以下
給与所得以外の所得がある方年収225万円以下

最長で15年(180ヶ月)まで返還を延長することができます。

途中で元の返還金額に戻すことも可能です。

返還期限猶予

月々の返還を先に延ばすことができる制度。

【減額返還の基準】

給与所得の方年収300万円以下
給与所得以外の所得がある方年収200万円以下

最長10年(120ヶ月)期限を延長することができます。

こちらも途中で元に戻すことは可能です。

こまめに情報収拾を!

給付型奨学金などができても、情報弱者である貧困家庭のこども自身がその情報を得ることはできない。

『東京貧困女子。』中村淳彦 より

給付などの情報は表立って公開される訳ではありません。

こまめにネットで検索したり、学校の先生に尋ねてみたりしてください。

「日本学生支援機構のホームページ」はこちらから。

まとめ

奨学金はただの「借金」

いずれ返さないといけない時が来ます。

余裕があるならもちろん、借りないという選択肢や、借りる額を減らすという選択肢を取るべき。

「奨学金を減らすと、バイトを増やさないといけない。そしたら勉強も友人関係もないがしろになる!」

借りるのであれば、「返すもの」という意識をしっかりと持っておくこと。

それだけで就職活動も違ったものになるはずです。

-良い人生を送る

© 2021 ーNachi雑誌ブログー Powered by AFFINGER5