盛り上がって、かつ全員が参加できる討論を実践したい。
せっかく討論するなら、「聞き上手」にもなって欲しい!
今回は、通常の討論とは一味違った討論方法、「スパイダー討論」について紹介!
「自分の意見を言う力」さらに「人の意見をしっかり聞いて分析する力」を同時に育むことができる「スパイダー討論」。
本記事では、その「スパーダー討論」の「実践方法」「メリット」について紹介します。
子供たちも意欲的に取り組んでくれます。ぜひ実践してみてください!
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スパイダー討論とは

「スパイダー討論」とはその名の通り「蜘蛛」、「蜘蛛の巣」のように張り巡らされた討論をすること。
討論中の「会話」をすべて「線」で結ぶことで、討論終了後には、「会話の蜘蛛の糸」で表現できると言うものです。
こうすることで、討論終了後に、誰がどのくらい意見を言ったか、どれだけ周りを気遣えたかが「一目」でわかり、討論を振り返ることができます。
「スパイダー討論」の進め方

- グループを複数作成し、「討論グループ」と「メモグループ」に分ける
- 「討論グループ」にはテーマを与え、「メモグループ」は、メモ作成の準備をする
- 討論を開始し、「メモグループ」はスパイダーメモを作成する
- 「スパイダーメモ」をもとに討論の振り返りをする
人数は20人くらいまでは対応できます。最大18人で実践したことがありますが、30分でかなりの量と質の意見が交わされました。
「スパイダーメモ」には、討論する人の座席の位置と名前がわかるように準備をしましょう。私が使ったメモ用紙のデータを下に貼りますので、参考にしてください。
聞き手は、会話の順番に「線」でつないでいくだけ!後は下の「評価」も行うと、最後の振り返りがしやすくなりますよ!
評価の仕方

これらの印を、名前の横につけていきましょう!
「面白い意見だなあ!」「あまり話してない人を指名してた!」と思っても、なかなかメモは追いつきません。そのための印!
討論が終了して、振り返った時に、「この人が討論に貢献してたな」とか「意見の数は少ないけど、鋭い意見が多かったな」とかが一目でわかります!
討論を実施する子供の発達段階に合わせて、印の数や内容を変更すれば、いくらでも対応できます!

スパイダーの見方
- Bくん:いろいろな人に話をしている。
- Cさん:話を切り出し、良い意見もいい、気配りもしている。
- Fくん:意見の数は多いが、鋭い意見は少ない。また、Cさんとのやり取りばかり。
- Jくん:一回しか発言してないが、その意見が鋭い意見。
上の画像を見るとこれらのことが、「一目」でわかりますよね??
こうやって討論を「可視化」することで、「自分はこれくらい活躍できた」「もう少し意見を言えばよかった」とより、自分の実態にあった反省や振り返りにつながります。
注意すること
注意ポイント
- 司会やタイムキーパー、まとめなどの役割は決めないこと。
- 討論が始まったら、一切関与しないこと。
「スパイダー討論」を行うときは、「役割」は決めません。
なぜなら、「確かな結論」を出すことよりも、「全員で一つの結論に導く」「周りの人に目を向け意見を引き出す」ことが、この討論の目的だからです。
討論の中で、自然と「司会」のような役割の人が出てくると思いますが、それはそれでOK。こちらから指定したり、あらかじめ決めさせたりしないことがポイントです。
また、討論が始まったら、何があろうと基本的には一切関与しません。
15分間なら15分間、自分たちでなんとかさせます。会話が途切れても、なんとかしようとします。数分間無言が続いたら、救いの手を差し伸べるのもアリですが、結論の良し悪しに関わらず、自分たちでさせてみると、思いがけない人物の意外な一面が見れたりもします!
スパイダー討論の魅力は?
魅力
- 「全員でいい意見を出す」意識を高める
- 「聞く力」も高める
- 一目で「評価」ができる
①「全員でいい意見を出す」意識を高める
全員参加が最低条件!
最初に「スパイダー討論」の仕組みを説明すれば、自分から「蜘蛛の巣」が出てないことをほとんどの子供は嫌がるはず。
なので、「自分から意見を言うのが苦手な人もいます。でももしかしたらものすごい意見を持っているかもしれません。全員から「蜘蛛の巣」が出るようにすること、全員の意見をもとにしっかり話し合いをすること。」
と、しておけば、一部の子が周りを見渡して「指名」したり、最初に一回全員発表したりと色々工夫をします。
②「聞く力」も高める
グループを2つ〜3つに分け、別のグループの討論を聞きながら、「スパイダーメモ」を作らせます。討論終了後に、そのメモを使って振り返りを行うため、評価の印もつけなければならないことを考えると、何が何でも、話を「聞か」なければなりません。
それが「意見」なのか「質問」なのか、「手助け」なのか、瞬時に判断しなければなりません。
「メモを作る」→「メモを使って振り返りをする」この流れが、「聞こうとする意識」を高め、結果的に「聞く力」も高めます。
③一目で「評価」ができる
「スパイダーメモ」のおかげで、「確かな評価材料」を手に入れることができます。もちろんビデオ撮影が一番かもしれませんが、そんな余裕はほとんどなし!
「誰が中心となり、討論を回したか」「誰が周りに気を配れたか」「鋭い意見を言えたのは誰か」
評価者から見た評価も、子供の自己評価も、比較的一体となって評価することができます。
「意見が少ない」=「活躍してない」と思いがちですが、その少ない意見の中に「☆」や「?」「S」があれば、「活躍していた」と判断することができますからね!
「いい」スパイダー討論をするには?
ポイント
- 話しやすい身近なテーマ、興味を持つテーマを設定する。
- 評価の仕方を明確にし、事前に伝える。
- 発表回数だけでなく、発表の「質」も重視する。
1 簡単で、興味を引くテーマ設定
「スパイダー討論」は「自由討論」です。
学習の進度に差がある集団では、「知識」をそれほど必要としないテーマが最適です。
私がよく最初の討論で使うテーマは
参考
「このグループで1ヶ月の無人島生活をするとなった時、無人島に持っていく3つのものは?」
食料確保に必要な道具や、雨風をしのぐものなど、結構自由なアイデアがたくさん出てきますよ。意外と3つは難しいので、そこに至るまでに数多くの議論がなされると思います。
「あばれるくん」の「よゐこ」の無人島生活のテレビで得た知識を披露する子も多かったです!
2 評価の仕方をあらかじめ伝える
評価の仕方
- 発表の「数」じゃなく、「質」も重視
- 全体を見渡して、配慮できる人も評価
- 理想の「スパイダー」は平等な線の太さになること
この3つは「討論前」に押さえておくと良いでしょう。
討論における「他者」の存在の重要性を感じて欲しいので、「「全員」でいい結論に導く」ことを念押しします。
普通の討論で活躍しないような子が活躍したりもしますよ!
3 「発表回数」じゃなく「発表の質」
討論をすると、どうしても「意見をたくさん言っている人」「司会をやっている人」に目がいってしまいます。人間なので、仕方がないんです。
ですが、「一回の意見でも、貴重な意見を言っている人」を尊重したい。
その「発表の質」を重視させることもできるし、重視して評価することもできます!
学級集団づくりにも最適!
「他者を気遣う視野を育て、他者の意見に耳を傾ける姿勢を育む」
国語の時間の中で、「説得力のある話し方」「根拠の使い方」「物語文に登場する主人公について」など、話す・聞く技術の向上に特化して指導することもできます!
が、学級活動の一つとしても活躍!
学級の決まり・ルールづくりなど、学級全体に関わることについての話し合いにおいても、「他者の存在」をより意識させるこの討論の仕組みは最適!
「全員で」がキーワードですから。
自分勝手な行動じゃなく、他者を尊重する行動を増やしたい、そんなクラスではぜひ挑戦してみてはどうしょうか?
アイデア授業
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