あー、なんか疲れてきたなぁ・・・。
新学期が始まって数ヶ月。ちょっと疲れが見えてくれた頃ではないでしょうか。
医療・福祉・教育の分野に従事する人が陥りやすいと言われる「バーンアウト(燃え尽き)」。
本記事では、「教師バーンアウト」について、その原因と対策を紹介!
「教師バーンアウト」とは?
バーンアウト
「長期間にわたり人を援助する過程で, 心的エネルギーが絶えず過剰に要求された結果,極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群」
「教師のメンタルヘルスに関する研究とその課題」田上不二夫 ・山本淳子・田中輝美
人と向き合う仕事、努力がすぐに成果として現れない仕事(医療・福祉・教育)に従事する人が陥りやすいものです。
ただ、教員が、あまりにも心身疲弊するということで、教員に特化したバーンアウトの定義が2002年に作られました!
教師バーンアウト
「教師が理想を抱き真面目に仕事に専心する中で,学校でのさまざまなストレスにさらされた結果,自分でも気づかぬうちに消耗し極度の疲弊をきたすにいたった状態」
「教師のメンタルヘルスに関する研究とその課題」田上不二夫 ・山本淳子・田中輝美
「自分でも気づかぬうちに」というところがポイント。
ふと我に帰った時に、疲れ果ててしまっている。そんな経験があなたにも、あなたの近くの人にも訪れることは少なくないはず!
一生懸命!真面目!そんな人ほど、この「教師バーンアウト」に陥りやすいんです。
「教師バーンアウト」かどうか、どうやって見極めればいいの??
「教師バーンアウト」チェックリスト!
過去12ヶ月のあなたの生活を振り返って、「変わったなあ」と感じるところに以下のように点数をつけましょう!全部で質問は20項目。その合計点数で、「バーンアウトの程度」を診断。
点数の付け方
5点:非常に大きな変化があった
4点:結構な変化があった
3点:変化があった
2点:少しの変化があった
1点:ほとんど変化なし
質問項目
- 以前より疲れやすい、疲労が溜まっている、一日の終わりにはくたくたになる。
- 今の仕事に興味がなくなっている。
- 仕事全体に対してやる気がない。
- 物事に飽きっぽく、特に何もしないで何時間も過ごす。
- 自分や他人に対してより悲観的、批判的、けちをつけるようになった。
- 約束や締切日などを忘れることがあり、それについて気にしない。
- より多くの時間を、友達や家族、職場の同僚と離れて一人で過ごしますか?
- 普段と比べて短気を起こしたり、敵意を持ったり、攻撃的になったりすることが増えましたか?
- ユーモアのセンスが際立って減少したと思いますか?
- 以前より病気になりやすくなりましたか。(風邪や体の痛みを含む)
- 通常より頭が痛くなりやすいですか?
- 胃腸の調子が悪いですか?胃痛、慢性の下痢、大腸炎、など。
- 朝、とても疲れを感じたり、消耗した感じで起きることが多いですか?
- 以前は周りにいても気にならなかった人々を故意にさけていますか?
- 性欲の減少がみられますか?
- 他の人をまるで人格がない物質のように扱ったり、無神経に扱ったりしがちですか?
- 仕事上で、有意義な結果を何も出していないと感じたり、何かを変える力がないと感じていますか?
- プライベートな時間において、有意義なことを何もしていないと感じたり、自発的に活動することがなくなったりしていると感じますか?
- 日々、仕事や人付き合い、将来のことや過去にあったことを考えたり心配して過ごす時間が長いですか?
- 限界を感じていたり、参っていたり、気力が衰えていますか?
合計点は何点??
合計店
【20〜30点】
「バーンアウト」ではない。もしかして、人生や仕事に対して無頓着?
【31~45点】
平均的な数値。真面目によく働く人がここの数値に当てはまることが多い。
【46~60点】
軽い「バーンアウト」の症状。原因を考えて、睡眠や息抜きをしよう。
【61~75点】
「バーンアウト」予備軍。解決のための手立てを打つ必要あり。生活の見直しを。
【76~90点】
「バーンアウト」。急ぎ、生活/仕事の対策が必要。周囲の援助が必要な場合も。
【91点以上】
「バーンアウト」のひどい症状。今の状態だと、健康な体と心を保てていないかも。仕事はいったん脇に置いて、症状緩和に努めるべき。
※参考:「介護業界の転職お役立ち情報」
いかがでしたか?
あくまでも参考にされてください!
「バーンアウト予備軍」かぁ。具体的にどんな症状が出てくるんだろう?
「教師バーンアウト」の症状は?
- 情緒的消耗感
- 脱人格化
- 個人的達成感の低下
ちょっと言葉が難しい言葉もあるので、簡単に説明しますね!
1 情緒的消耗感(「バーンアウト」のメインの症状)
「仕事を通じて、 情緒的に力を出し尽くし、 消耗してしまった状態」
MBI マニュアル (Maslach, Jackson & Leiter, 1996)より
何をやっても「やる気」が起きないよー。
そう、この「無気力」な感じが「情緒的消耗感」。
教員の仕事は、常に「人」との関わり。その中で、知らず知らずのうちに、エネルギーが消耗。いつの間にか、「あ、もう何もしたくない。」状態になってしまいます。
2 脱人格化(第2段階の症状)
「クライエ ントに対する無情で、非人間的な対応」
同上
勝手にしてくれ。
できるだけ関わりたくない。
「人との距離感をあけてしまう」症状。具体的にいうと、
- 相手のことを名前じゃなく、見た目や特徴で呼ぶ。
- 人と関わらない事務作業に生きがいを感じる。
- 相手が理解できない、難しい言葉をたくさん使う。
第1段階で、人に気を使いすぎて、「エネルギー消耗」。もう人に使うエネルギーは残ってません。
3 個人的達成感の低下(第3段階の症状)
「ヒューマンサービスの職務に関わる有能感、達成感の低下」
同上
もう何やってもうまくいかない。
「人とうまく関われない」日々が続くと、仕事がうまくいかない。
仕事に対するやりがいも、達成感も、何も無くなってしまいます。「燃え尽き」てしまいました。
「バーンアウト」になる原因は?
「バーンアウト」になる原因。それは次の3つ。1つかもしれないし、全部かもしれない。
- 個人要因
- 環境要因
- 感情労働
1 個人要因
「ひたむきに」「他人と深く関わろうとする姿勢」が原因。
自分に与えられた仕事、自分がやるべき仕事が、「できない」ことが、許せない。そんな、一生懸命な人が陥りやすいんです。
反対に、「バーンアウトしない」人は、いわゆる「マニュアル人間」。事務仕事を淡々とこなす人は、できないことに悩むことも少ない。
2 環境要因
- 【量的負担】:長時間労働、雑務、ノルマ、体に負荷のかかる作業
- 【質的負担】:相手の人格や生活に踏み込んだ理解をする必要性
「量」はよく取り上げられることが多いですね!でも、意外と負担になっているのは「質」の方。相手の懐に飛び込むのに使うエネルギー量は、計り知れない。
3 感情労働
あまりにも一心不乱に仕事に身を捧げてしまうこと
「「教師」として、生徒や保護者と接した際に生じた、相手側からの反応(苦情や攻撃も含む)を、自分個人に対して向けられたものだと感じ、思い悩む」こと。
「教師」として子供に指導したのに、それに対する反応が、自分の性格や個性、生き方まで否定しているように「感じる」くらい、仕事に没入してしまっているということです。
「症状」とか「原因」はよくわかった!
でも、自分一人じゃどうしようもなくないか??
確かに・・・。学校現場はどうなのか。そこも簡単に見てみましょう!
教育現場の現状は?
1 「公立学校教職員の人事行政状況調査」
ある都道府県で実施された「公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、県内の教員における精神疾患による病気休職者の数は、毎年約150人。
この数は全教員の0.3%弱で、およそ350人に1人の割合です。
ただ、この数字は「精神疾患による病休」を取得した人の数だけです。精神疾患にかかったが、病休を取得していない人(辞職した人)、精神疾患予備軍の人、病院に行かず働き続けている人も少なからずいると思います。
前述したように、自分がうつ病などの精神疾患、または「バーンアウト」だと「認識していない人」も数多くいるはずです。
2 「小学校教師の意識についてのアンケート報告書」
2013年に実施された「小学校教師の意識についてのアンケート」の報告書では、「教師としての悩みをどのように解決しているか」という設問に対しての回答がランキング順に掲載されました。
①同僚の教員同士でサポートする ②自分で解決するしかない ③管理職に相談する
第2位には「自分で解決するしかない」。
約40人の子供たちを一人で見る。年齢が若くても、熟練者でも「簡単」なことでも「慣れる」ことでもないですよね。
全員が、「自分のクラス第一」で「忙しく」している状況で、どうにも頼ることができず、いっぱいいっぱいになってしまっている人も、かなりいるでしょう。
「教師バーンアウト」になったとして、どう対処すればいいの??
「バーンアウト」になってしまった後、どのように対処すればいいのか、それについてまとめましょう!
「教師バーンアウト」から復活するために!
「バーンアウトだなぁ」ってなったとき、次の6つの手立てを順に進めてみてください!
手立て
- 「問題を認める」
- 「仕事から距離をとる」
- 「健康を回復する」
- 「自分の人生における価値を問い直す」
- 「働きの場を探す」
- 「断ち切り、変化する」
焦らずに、一番の問題点や、自分の人生の大事なことを考えてみましょう。
「バーンアウト」3つの原因のなかで、一番対処に取り掛かりやすいのは「環境要因」。
今いる環境を「変える」「離れる」のが、一番手っ取り早く、問題解決に繋げられます。
休職前と同じ仕事に復帰した人は, インタビュー した 20 人中 1 人しかいなかった。 他の 19 人は, それまでの自分のキャリアを断ち切り, 新しい環境で, 人生を再設計していくことを選択した。
同上
今の仕事が「100%正解」なんてことはあり得ません。多分もっともっとあなたに合った仕事が見つかるはず。
逆に考えると、「バーンアウト」状態になった今は、「人生の再出発」について考えることができる「大きなチャンス」でもあります。
私自身、教員を3年で退職。フリーランスとして、ワーキングホリデーに挑戦しています。
「教員」にこだわって、復帰の準備をするもよし。新たな道に身を投げ出してみるもよし!
「教員免許状」は10年間
教員免許状の有効期限は「10年」。
もし、一度やめても、「もう一回教員やりたい!!」と思えば、講師としてでも、もう一度採用試験を受けてでも、いくらでもやりようはあるんです!
「やめるのはもったいない??」
「やめて、いろんなことに挑戦しない方がもったいないんじゃなくて??」
大学時代に、人よりもたくさんの講義を受けて獲得した「教員免許状」。10年間を賢く使おう!
「転職」という選択肢をもつ!
どうしても「しんどい」「耐えられない」。そんな人は、絶対に無理せず、「休職」「退職」「転職」の選択肢を考えましょう。
「若いから耐える」んじゃなく、「若いからこそ他のことに挑戦できる力」があるんですから。
転職エージェントへの登録・相談は、いつでもできます!「退職」や「休職」前に、登録・相談をしておくことがおすすめ!
そのほうが、「退職」後に、かなりスムーズに色々動くことができますよ!
転職hone(ホン)でも、無料でのカウンセリングを行っています。自分のキャリア構築のために、利用してみましょう!「バーンアウト」になる人は「感情豊かに」「まっすぐ」仕事に向き合っている人
「バーンアウト」になる人、「バーンアウト」予備軍の人は、それだけ生徒や保護者と「まっすぐ」向き合っている人なんだと思います。
自分のエネルギーを消費してまで相手の懐に入って、なんとかしようと日頃から尽力している証拠だと思います。
「バーンアウト」のような症状が現れても全く気にする必要はありません。
おそらくこれまで多くの子供たちの成長を支えてきたんだろうということがわかるので。
だからこそ、次は自分の番です。
「自分の性格」を変えるのではなく、「環境」「考え方」を工夫しながら、多くの子どもたちの成長の糧になって欲しいと思います。